シュカブラを求めて、中央アルプスの木曽駒ヶ岳(2956m)の中腹にある千畳敷ホテル(2126m)に、何度か電車を乗り継いで辿り着いた。写真機材と山道具を詰め込んだ20kg以上の大型ザックを持って、5回に及ぶ乗り換えの移動は、山での縦走より疲れるような思いをさせられた。よって、帰りは宅配便を利用した。
しかし、非常なことに、季節外れのバカ陽気のために、二日前、全山に雨が降り、そして放射冷却で凍ったためにシュカブラは完全に消えていた。全山アイスバーン状態で、アイゼンが無ければまともに歩き回ることもできない。持参したスノーシューは全く役立たずの状態のため、シュカブラ撮影は諦め、この時期にしては幸運な快晴無風の山を、見て楽しむことに気持ちを切り替えた。
千畳敷カール。二日前の雪崩の痕が生々しい。地形的に雪崩の巣だ。
反対側には南アルプス連峰と駒ヶ根の街が見下ろせる。富士山も天辺だけ見えたが、右端の塩見岳(3047m)は富士山より魅力的な山だ。朝靄の山並みが日本的風景を醸し出している。
千畳敷カールのシンボル・宝剣岳上空に広がった不思議な雲。
山そのものがご神体の甲斐駒ヶ岳(2967m)。見るからに神々しい山容だ。南アルプスでは一番格好が良い山だ。
ホテル前に聳える急峻なサギダル山にザイルを駆使してアタックするソロクライマー。相当な登攀技術が無いと登れない山だ。下山後の話しでは、岩も含めて全山氷で、一瞬滑落したが、ザイルの自動ブレーキ装置で止まったらしく、ピッケルも役にたたなかったと言っていた。(400mmで撮影)
日本一空に近いホテルということだけあって、星空観察だけの目的で泊まる人も多い。F8、40分露光。この同心円の中心が北極星ということになるのだろう。だいたいの向きを北に向けてカメラをセットしたら丁度良く収まった。
F4、70秒露光。
千畳敷カールの外側は、ここは日本か?と思うほどの景観。まるで、シャモニーの尖峰群を彷彿させるようだ。
快晴無風の絶好の登山日和に、雪崩の痕を避けるように冬山完全装備の登山者が、中央のコルを目指して列を作っている。そこ(乗越浄土)まで登ると景観がガラリと変わり、木曽駒ヶ岳も見えるそうだ。アイゼン、ピッケルが無ければ今回は無理なので、指を咥えて見るしかなかった。
日本で二番目に高い北岳(3193m)などの3000m級の山々が連なる南アルプスからのご来光。残念ながら雲が邪魔をしたが、その雲が異常なくらい赤く燃えた。元日は、右端の富士山からのご来光が見られるそうだ。
今シーズンは、いまのところ、蔵王からも見放され、シュカブラの写真はゼロ。あと数回は蔵王に行くが、今月末から3月にかけての大雪山旭岳に期待するしかない。