2018年 05月 24日
中央構造線と「縄文のビーナス」 |
新緑の蓼科高原をベースに、日本列島形成の大きな鍵を握る中央構造線の見学と、尖石遺跡考古館に戻ってきた「縄文のビーナス」と「仮面の女神」を見るために、仲間3人で走り回った。
その前にあまりにも天気が良かったので、木曽駒ヶ岳に登ることにした。と言っても、ロープウエイで標高2600mまで登ったのだが、千畳敷はまだ雪に覆われていた。時間があれば木曽駒ヶ岳山頂に登りたいのだが、今回はアルプス連山を眺めるだけにした。
大鹿村にある「中央構造線博物館」に向かったのだが、途中の分杭峠が工事中のため通行止めとなり、大きな迂回を余儀なくされた。おかげで、折草峠という歴史ある旧街道を走ったが、久しぶりに肝を潰す難路だった。
博物館の学芸員のわかりやすい説明を聞きながら、新しい認識の連続だった。恥ずかしながら、中央構造線とフォッサマグナを混同して覚えていていたことや、地球の内部はドロドロしたマグマでできており、地殻の弱いところからマグマが吹き出して噴火が起こると思い込んでいたことが間違いであることを知った。中央構造線は断層の境目であり、フォッサマグナは断層と断層の間の沈降帯であることがわかった。地球の内部は固体で、マントル内での圧力と温度との関係でマグマが生じて火山ができることもわかった。地球生成、日本列島形成におけるメカニズムを知るにつけ、「今」という解釈が250万年というサイクルでとらえられていることに、あらためて時間の流れの蓄積の大きさを知った。2時間が瞬く間に過ぎて、博物館を出た後、中央構造線の露頭現場に行って、更に大きな衝撃を受けた。2億万年前の痕跡が露出しているのだ。
前回、尖石遺跡考古館に行ったとき、「縄文のビーナス」と「仮面の女神」は「国宝展」に貸し出し中で、レプリカしかなかったが、今回は念願の本物とのご対面ができた。レプリカの軽薄さとは全く違い、5000年の時を経た、想像以上にインパクトの強い土偶だった。このインパクトを大事にするために、今回はこの二つだけを見て、あとの貴重な土器群はなにも見なかった。
帰りは、標高2100mの麦草峠を越える山岳道路のメルヘン街道を走って佐久平駅に到着し、今回の旅は終わったが、充実した3日間だった。
標高2611.5mの千畳敷カールで、周囲の岩峰群から刺激を受けて、生半可な登攀意欲を抑えるのに苦労した。
蓼科高原のホテルからの八ヶ岳連峰は見飽きない。
ホテルの近くの「アンフアミーユ」という欧風料理店はなかなか美味しい。これは能登半島産の岩牡蠣のカルパッチョであるが、ジュレが最高に美味しく岩牡蠣の味を引き立ててくれる。
大鹿村の中央構造線博物館の近くの露頭現場。右側の黒い縦縞が中央構造線露頭部分。これを境に内殻(左側)と外殻(右側)に別れる。
二晩目も同じ「アンフアミーユ」で、アンコウの身と卵のカルパッチョ。アンコウの生は初めて食べたが、はじめての食感で美味しかった。
ホテルの部屋から眺められる「甲斐駒ヶ岳」は山そのものがご神体だけあって、見るからに神々しい山だ。
「縄文のビーナス」。5000年前。この簡潔なデフォルメを5000年前の縄文人がしたことを考えると、人間の感性は普遍で、その時代的環境の中で変化してきているだけだ。
「仮面の女神」。 4000年前。いずれにしても、シャーマニズムのような精神の基に作られているのではないかと思うが、4000年前のことはよくわからない。
by hd-domon
| 2018-05-24 23:52
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